トロングの誕生

    ジュレルが生まれて数100年。

     また新たな妖怪が生まれた。

     生まれたのは吸血獣ではなく

     寄生種だった。

     

     寄生種が生まれた時は

     親はいない。

     ジュレルが1人で妊娠した

     訳でもない。

     

     寄生種はどう生まれてきたのか

     不明だった。

     

     ジュレルが寄生種にご飯をあげようとしたら寄生種がいつの間にか

     人間を食べていた。

     

     言葉は教えた事がないのに

     完璧にペラペラと言葉を喋っている。

     

     この寄生種の体はどうなっているのやら。

     

     ジュレルと共通する所が

     

     一つあった。

     それは背中からでている腕だった。

     

     その腕はジュレルとは違って

     濃い紫の薄い膜が張っていた。

     

     薄く半透明だが、物を掴むことはできる。

     ジュレルは

     腕がでているチャックの中を覗いてみると、

     まるで宇宙のような空間が広がっていた。

     無重力で空気がない。

     

     宇宙空間と同じような感じだった。

     その中を覗いていると

     寄生種に叩かれた。

     

     軽く睨まれた。

     その睨まんできた緑の不気味な瞳が

     ゾクゾクと感じて軽く震えた。

     

     寄生種をよく見てみたら

     首からピンク色の管のようなものが伸びていた。

     その管の先にあったのは

     心臓だった。

     

     その心臓からは

     血が少しずつ溢れだしていた。

     でも全く気分を悪くしていない。

     逆に元気の様子だった。

     

     ジュレルと全く違う体の構造をしている

     寄生種の面倒を見なくてもよかった。

     

     勝手に食べ物は持ってくるし

     夜にはふらふら出歩くし

     よく分からない行動をしていた。

     

     その後も頑張ってジュレルは

     寄生種と一緒に過ごした。