神になった人間の女の子【復讐編】

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    あらすじ

    最高神に力を貰って現人神となった女の子。

    あれから不老不死となり、長くハキアマーダー界で生きた。

    時には有翼人になり、時には宇宙戦士になり、沢山努力した。

    ただ力を貰っただけでなく、生前のあの時よりも厳しい世界を沢山経験して強くなった。

    ある日、ゼージスは女の子の表情がいつもと違うことに気づく。  ───

     

     

    ゼージスは今日は仕事がなく暇そうだ。

    ゼージスは飲み物をキッチンで入れて、飲み物を持ってリビングに戻ってくると、

    なにやら女の子の表情が普段と違う。

    口は固く閉じ、両手の拳はギュッと握っている。

     

    神になった人間の女の子【復讐編】

     

    「どうした?」

    女の子の顔を伺い、そっと話しかける。

    「アイツらに、復讐したい…」

    女の子は俯きながら答えた。

    (復讐?なんの事だ?なんかされたことあったか?)

     

    女の子は復讐したいというが、

    ゼージスはなんの事かよく分かっていない様子。

     

    そんな様子のゼージスに、女の子は今までの事を全て伝えた。

    本当は自分は外の違う世界の人間で、

    昔にその世界で死んだことがあって、

    セレスティアに生き返らせてもらったかわりに、今ここで神となってお手伝いしていること。

     

    女の子が姿神なのは、

    この前に神の姿で毛ずくろいしているのを見て知ったが、それより以前の出来事は知らなかった。

     

    「そうなのか…

    わかった。

    とりあえずシエルトハイダに行って、母さんに相談しよう」

     

    ゼージスはスクアスを呼んでシエルトハイダへの扉を作ってもらい、女の子と二人で実家に帰ることに。

     

    ゼージスは四大柱の3人と姉妹、その他の神々を集め、事情を説明した。

    その間に、女の子は久遠の間へ行き、

    セレスティアに、自分を殺したアイツらに復讐したいと伝える。

    セレスティアは下を向き、不服そうな顔をする。

     

    でも女の子は今までに無い真剣な表情をして、セレスティアの瞳を見つめている。

     

    この世界から出ていかれると困る。

    彼女はこの世界にいなければならない、とても大事な存在。

    もし、彼女がこのハキアマーダー界からいなくなったらどうなるだろう。

    あらゆる全ての姿と形を持つものが、自身の姿形を維持できなくなる。

    植物や山、街や村、このハキアマーダー界に住まう全ての生ける者が。

    残りの四大柱と6柱神が居ても、彼女が居なければ意味が無い。

    たった数分でこの世界は崩壊し、以前のまっさらな姿へ戻ってしまう。

     

    リミットは、約5分だ。

     

    セレスティアは 5分以内に済ませて帰ってくること 

    と、女の子に伝えた。

    その声は微かに震えていた。

     

    午紗ノ神、ミタマコ、インディ、

     

    カウィ、メアーゼ、モイナ、ダオドネル、オシアス、

    リディス、ファンドラス、アロース、

    あらゆる神々をゼージスの所へ集めた。

     

    話が終わったのか、女の子が久遠の間から戻ってきた。

     

    神々は突然訪れた未だかつて無い大きな事態に驚き、

    とても心配そうな表情をゼージスと女の子に向けている。

     

    「5分だけ、扉の向こうへ行ってくる」

     

    女の子は真剣な表情で神々の顔を見て話した。

     

     

    「これを、バレなさそうな所に付けてくれ」

     

    ゼージスは、普段女の子が宇宙戦士として活動している時に付けているあの金の六角形のバッジを手のひらに乗せて渡してきた。

    それは普段から使用している、馴染みのあるもの。

     

    女の子はそのバッジを、水色のトップスの内側に装着した。

     

    「ま、待ってくれ!場所は分かってるのか!?」

    午紗ノ神は涙を浮かべて問いかける。

     

    「奴らの名前と住所、あの建物の場所は既にわかってるよ

    ヘクスレブラが情報を収集してくれたから」

     

    スクアスが水色に輝く扉を開いて待機している。

    扉の向こうでは、トイレの便器と扉が見える。

     

    「ここに、扉を展開して待機しているから、

    事を済ませたらすぐに帰ってきてくれ」

     

    ゼージスの目からは涙が溢れ、震えた声でそう伝えた。

     

    「あの時からはもう既に数十億年経過しているから、扉の向こうはそれより前だよ

    今いるこの世界と私らが生まれるよりもっと前。

    タイムスリップって事だね」

     

    時間神はそう言った。

     

    今現在の世界線では、太陽系と地球はどうなっているのだろう。

    時間神が言っている通り、数十億年経っているのなら、

    もしかしたら、存在しないかもしれないし、

    する…かもしれない。

     

     

    女の子は涙を浮かべ見つめる神々に優しく微笑み、

    扉の向こうへ旅立った。

     

    スクアスの扉を抜けると、汚れた便器が視界に入った。

    とても強烈な悪臭を放っている。

    振り返って扉を見ると、向こう側に神々が見える。

    トイレの扉を開け、外に出る。

     

    そこには、あの時に繋がれていた拘束具と、

    自分が流したであろう大量の血が残されていた。

    自分が力尽き、蘇生する為体ごと移動した少し後なのだろう。

    女の子はあの時を思い出した。

    体が震える。

    あの時を思い出すと、ゾッとする程の寒気を感じる。

    だが、今は違う。

    セレスティアに力を貰い、あの時より強くなった。

    拳をギュッと、強く握る。

     

    少しすると、男達の慌ただしい声と走る足音が近ずいて来た。

     

    牢屋の真ん中で、力尽きたはずの女の子が立っている。

     

    「お前どこに行ってたんだよ!

    くたばったンじゃねえのかよ!!!」
     

     

    目を離した隙に何もしていないのにパッと死体が消え、騒ぎになっていた。

    立っている女の子は、脱がしたはずの長袖を着ていて、

    目は刃物のように鋭く、男達を睨んでいる。

     

    女の子を捕まえようと、男達が襲いかかる。

     

    殴りかかってきた男の攻撃を避け、その腕を掴み、思いっきり壁に投げ飛ばした。

    どかんと、強い音が建物内に響く。

     

    蹴りを入れようと片足を大きく上げる男には、素早く強烈な金的を食らわし、

    その男は倒れ込み股間を抑えて苦しんだ。

     

    「調子にのんじゃねえぞ!!!!!」

     

    二人の男が倒れ込み、

    もう1人の男は凄い形相で懐からナイフを取りだし、切りかかってきた。

     

    女の子はそのナイフを勢いよく弾き飛ばし、

    ナイフは カン カラン と音を出し、向かいの牢屋へ吹っ飛んだ。

     

    女の子はすかさず、指で男の両目をぶち抜き、

    右耳の辺りに魔法陣を展開する。

    すると、右耳から左耳へと凄まじい衝撃が男の頭を貫いた。

    眼窩と両耳から血をボタボタと流し、男は倒れ込んだ。

     

    金的を食らい倒れ込んでいた男は起き上がり、

    「なんかお前、体柔らかそうじゃん

    セ○クスさせろよ」

    と、ズボンを下ろした。

    あの時、女の子をオカズにして両胸を強引に揉みしだき、目の前で数回射精したあの男だ。

    露出した大きなブツは塔のように反り立っていた。

     

    「俺、デカイからお前みたいなちび女の狭そうなま○こ入んねえと思って外で済ませてやったけど、

    やっぱ無理。我慢できねえわ」

     

    ズボンを脱がせようと下半身に飛びかかってくる。

    女の子は、ぶらぶらと揺れる大きな2つの玉目掛け、思いっきり蹴りをお見舞いした。

    男はまた、股間を抑えて倒れ込んだ。

     

    女の子は男の四肢を魔法で大の字に拘束し、

    大きな玉を何十回も殴った。

    男は痛みに絶叫しながら、抵抗しようと首をブンブン左右に振っている。

     

    女の子は、右手を広げた。

    手のひらから柄、鍔、刀身のようなものが現れ、刃物のような形状になった。

    刀身を下にして柄を握ると、ぶら下がる大きな2つの玉の根元へ突き刺し、切り裂いて切断した。

     

    ピンと反り立つ目障りな暴れ回るブツを、女の子は思いっきり握り、引きちぎろうと引っ張った。

    が、ブツは汁を吹き出した。

    眉間に皺を寄せ、「汚ねえんだよ」と強く言うと、男の顔面をぶん殴った。

    鼻から血が横に飛び、床に付着する。

     

    汁にまみれながらも、右手で勢いよく力ずくで握り、引きちぎった。

    断面から血が溢れる。

    男は言葉にならない声を上げ、痛みに苦しんだ。

     

    女の子はそれだけでは物足りず、

    大腿と下腿の骨を足で思いきり踏みつけて粉砕し、

    手のひらから魔法陣を展開すると、その両足を業火で吹き飛ばした。

    その衝撃で男はがくんと失神した。

     

    まあこんなもんだろうと心の中で思ったその時、

    「3分経過した、急いでくれ」

    バッジからゼージスの音声を脳内で聞き取り、

    「もうすぐ終わるからもう少し待ってて」

    と、意思で音声を送信した。

     

    トイレの便器と扉が写る向こう側から、

    男達の絶叫、肉が避ける音、液体が飛び散る音、刃物が床に落ちる音が聞こえてきて、復讐が進んでいるのを感じた。

    神々は少しずつ崩壊していく自身の体に震えながら、固唾を飲んで女の子の帰りを待つ。

     

    この世界に魔法の概念はあっても、実際に使うことは出来ない。

    当たり前のように魔法を使い、ぶっ倒される2人の男を見て、あの時の殴ってきて青あざを付けた男は青ざめ、ドスンと尻もちをつき後退りした。

     

    「あの時死んだんじゃねえのかよ

    なんでそんなにピンピンしてんだよ

    しかも普通に魔法使ってるし…」

    男は怯えながらボソボソと口にする。

    出口の方へ向いて立ち上がり、その場から逃げようと走り出した。

    女の子は逃さまいと、一瞬で男の前へ回り込み、思いきり殴り飛ばした。

     

    思いっきり腹を殴打されて廊下を数十mぶっ飛んだのにも関わらず、

    女の子はまたも一瞬で目の前に迫り、

    全身にとんでもない力で殴りかかってきた。

     

     

    「下界の民たちが苦しんでいる!!!

    早く戻ってきてくれ!!!!

    あと1分だ!!!!」

     

    ゼージスも、女の子が居なくなってから自身の姿を保てなくなり、崩壊しかけているのだろう、

    とても涙ぐんで震えた声が脳内に伝わってきた。

     

    一瞬だけ殴るのを辞めると、男は泣きながら

    「ごべんなざい!ごべんなざい!ごべんなざい!」

    と、何回も謝罪してきた。

    この3人のゴミ共のせいで、

    自分だけでなく数え切れない程の女性が被害にあっている。

    体に傷を負うだけでなく、自分みたいに殺された人も数多くいるのだろう。

     

    許すわけが無い。

     

    女の子は物凄い形相で怯える男を睨む。

    出口は女の子の後ろだ。

    脱出して助けを求めるには女の子の後ろに行かないといけない。

    逃げたい。でも、そんなの無理だ。

    普通に自分よりも大きな男達を投げ飛ばし、

    とても人間とは思えない速度で目前に迫ってきたのだ。

     

    男は何とかして逃れようと立ち上がろうとした。

    逃がすわけが無い。

    女の子はずっと視界の真ん中に男を捉え、

    何十回も殴った。

    鼻から血を吹き出し、歯はへし折れ、

    身体中にアザを付けた。

     

    自分だけでなく、犠牲になってしまった女性たちの憎しみはとてつもない。

    それだけで済ますわけがない。

    四肢の骨を粉砕し両目を潰すと、男は動かなくなった。

    でも心臓の鼓動は聞こえる。

    3人とも、失神したようだ。

     

    女の子は急いで立ち上がり、受話器から救急車を呼んだ。

    通話を終えると大急ぎで牢屋へ戻り、

    トイレの扉を開け、勢いよく飛び込んだ。

     

    大粒の涙を流しながら、体が崩壊していくのを見る神々。

    すると、スクアスの扉から女の子が吹っ飛んできた。

    女の子は午紗ノ神と衝突し、数m地面と体が擦れた。

    女の子がシエルトハイダに戻ってくると、崩壊しかけていた姿と形が元に戻った。

     

    神々が涙を流して女の子に駆け寄る。

     

     

    「マジでどうなるのかと思った!!!

    時間内に戻ってきてくれて良かったよ!!!」

     

    ゼージスは大泣きしながら女の子を抱く。

     

     

    「ご、ごめんごめん!

    でも、これでやりたいことは終わったよ!」

     

    女の子の目にも涙が溢れる。

     

    創世してから初めて到来する、滅亡するかもしれない大きな事態。

    もし、少しでも遅れたらどうなっていたのだろう。

    民も神々も死にはしないが、視界に移る景色と自分の体が崩壊していくのを見て、

    この日はハキアマーダー界中で民の悲鳴が響き渡っていた。

     

    このような事態に女の子は、

    自分の存在の大切さを思い知った。

    うちは前まで普通の人間だったのに、

    数分離れてるだけでこんなことになるなんて…。